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復活! サブカルをメインに批評・考察・提案するブログです。

ボーカロイドの生き方を考える

初音ミクの有名な曲をニコニコで聞くことはわりとあるのですが、今まで、あまり他のVocaloidボーカロイド)は聞いていませんでした。
そこで最近、リンレン、カイト、メイコなどを少し聞いてみたのですが、ここに着てとてつもない違和感に襲われます。


私が今まで「ミクっぽいな、ミクらしいな」と思っていた特徴は、Vocaloidボーカロイド)の特徴に過ぎなかったのです。
ミク固有のものではありませんでした。他のボーカロイドも同じように持っている特徴でした。
同時に、その特徴をバーチャルアイドルとしてのミクの個性としては捉えることが難しくなり、機械、作り物として見えるようになりました。
はっきり言えば、聴いていて気持ち悪い。
それは、確かに生き物ではなかったのです。
不気味の谷現象という、人形が、ある一点を超えて人間に近づくと、とたんに気持ち悪く見えてくるような現象があるのですが、それの音声バージョンのようなものでしょうか。違うかな。


今まで、ミクの舌足らずでちょっと無理しているような声に、幼さやら何やらを見ていたような気がします。しかし、今はそれが機械の未発達な部分に見えてくるわけです。
ともかく、その幼さに見えていたものは、アイドルとしての純粋さにぴったり合っていたのかもしれません。みくみくにしてやんよ、という歌が初期からずっと有名で人気がありますが、私の感想としては、乱暴な歌詞がマッチしていないようにずっと思っていました。
些細なことではありますが、そこが違ったら今ミクはどうなっていたのかなあと考えることもあります。


今は、ミク以外のボーカロイドは見ないようにしています。そうすれば、イメージがこれ以上壊れないからです。


ところで、ボーカロイドは人間の歌唱の後追いをしています。
悪く言えば劣化コピー、理想を言えば再現になるでしょう。
つまり、人間の歌の進歩が止まってしまうと、ボーカロイドも、それ以上の進歩が見込めなくなります。ボーカロイドが自ら進化するロボットに搭載されない限りは。


それを防ぐためには、ボーカロイドが人間に追いつかないうちに、人間の歌唱の優位性を、公然の事実にしておかなければならないと考えられます。
今生きている普通の人は、生まれたときにはまだボーカロイドが無かったのが、多数派だと思います。少なくとも、ブームにはなっていなかったはずです。
しかし、これから生まれてきて、これからの世界を担う人にとっては、ボーカロイドは生まれたときからあるわけです。しかも、確固たる技術を裏づけに持ったブームとして存在している。
これは、彼らがそれを自然に受け入れてしまえる状況が、できているといえます。
今も、若者が多く集うニコニコ動画で、ボーカロイドたちは受け入れられ、大人気を得ているのです。それは決して悪いことではないし、むしろ良いと思いますが、放っておけば問題になることだと考えます。


もちろん、人間の声とボーカロイドは別のものです。違うものは違う。それはそうでしょう。
ですが、そういった当然のことを理解している人は、果たしてこれからもずっと多数派なのですか。
私にはそうは思えません。
家庭料理を疎かにして、インスタントとジャンクフードばかり食べているのはいつの時代ですか? それは今です。
料理は、確かにプロの店が脅かされているわけではありません。しかし、ここで問題にしたいのは、多数派が、大衆がどちらを食べるのかということです。
歌の大ヒットを生むのは、多数派、大衆であり、彼らが買ってくれるからです。決して、一部の金持ちが買ったからではありません。
何もしなければ、悪貨が良貨を駆逐するでしょう。そして進歩は止まる。それで終わりです。


王道が無ければ外道は無い。
王道の輝きが無ければ、外道は輝けない。
それが真実であり、外道が王道を殺してしまえば、外道も死ぬ運命にあります。
外道は王道に取って代わることはできない。


人数ばかりが目に付くアイドルや、大根役者の歌を持ち上げているようでは、いずれボーカロイドか、それに変わる歌唱機械に駆逐されてしまうでしょう。
これからは、本物の歌を取り戻さなければならないと考えます。もちろん、人数が多くても、コネが強くても、本物であればそれでかまいません。しかし今の彼らは、私には悪い意味での作り物にしか見えない。それはいずれ機械に負ける類のものです。まだしばらくは大丈夫でしょうけれど。
がんばっているのは痛いほどわかりますが、がんばったからといってそれで良いわけではない、というのは、グループ内で熾烈な競争をしている彼らが一番わかっていることでしょうからこれ以上は何も言いません。


人間が本道に帰るのが、人間の歌業界と、ボーカロイドバーチャルアイドルの住み分けと、さらに両者の発展、すべてを無駄な争いなく得るために、一番いい方法だと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。