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復活! サブカルをメインに批評・考察・提案するブログです。

今、なぜSFがティーンノベルを席巻していないかを考える

 私はそれほどSFを読んでおらず、本格的な勉強はこれからしようと思っているのですが、その前に現時点での考えを書き出しておこうと思います。


・私の現状
タイムマシンや夏への扉など、有名作の一部は読んでいる。でも、一番印象に残っているのは「イリヤの空、UFOの夏」というライトファン。


・本題(一部修正)
かつて、ティーンが読む小説といえばSFがくるような、SFが流行った時期があったそうです。
にもかかわらず、なぜ、今はSFジャンルがライトノベルや児童書を席巻せず、一ジャンルに落ち着き、むしろ大人向けへなってしまったのでしょうか?
それは、物語ではなく、その中の一要素にこだわる進歩をしたからではないでしょうか。


子供の好奇心にとって、登場するものが、未知の機械かどうかが重要というわけではありません。
未知であることがまず重要で、それが機械であろうと魔法であろうと、それほど違いはありません。
つまり、既知で無ければ未知であり、日常でなければ非日常であり、非日常が面白さにつながるということになります。
しかし、今は昔と比べて、機械はやや不利な位置にあるような気がします。


昔、見た目に未来的で好奇心を刺激される機械というものが、庶民の家庭に登場し始めたころ、それと同調するようにSFが盛り上がったのかな、と想像できます。
比べて現在は、確かに二足歩行ロボットなどの機械が現れていますし、注目を集めてはいます。
しかし「未来的なデザインの機械」そのものは、すでに日常に溶け込んでしまっているともいえます。
我々にとっては過去と、子供だったころとを比較して、そういうものの「非日常さ」に驚くこともできますが、子供にとっては違います。彼らにとってはあれはあるのが自然なのです。
生まれたときから携帯電話が普及していて、家は下手するとオール電化。動画のアップロードや、ビデオチャットをする子供までいます。
つまり、そういう中で育ってきている子供にとっては、未来的なSF機械がいくら物語に登場しても「非日常」の象徴としては弱く感じるのではないでしょうか。
SFというだけでは弱くなってしまっている。
SF要素があるだけでは、勝てない。という構造が生まれていると思います。彼は、ジョーカーではなくなってしまった。


これは、今「ファンタジーが魔法というだけでは勝てない」という構図に陥っていることに、ひどく似ているような気がします。
魔法を出せば売れるようなブームは今現在、ありません。しかし、魔法や、魔法的な要素を活かして、売れている作品はたくさんあります。


SFについても、同じ未来が用意できるのではないでしょうか。
SFは死んでいないし、弱くなってもいない。どう活かすかが問題なのだと思います。
SF要素の考証は、子供にとって最も魅力的に映る部分というわけではありません。
SF考証が子供にとって魅力的なのは、SF要素が非日常の象徴として機能していて、そこに惹かれたから、それをより詳しく知りたくなり、説明してくれるものが、魅力的に見えるだけなのだと考えられます。
ですが、物語ではなく「SF」を、と優先して考えてしまえば、子供、少年にどう見せるかではなく、見せる中身ばかりを優先してしまうことになります。どう見せるかは、後の話になります。
カレーに入れる、にんじんなどの具材の新鮮さや産地は大変気にするのですが、肝心の調理法や包丁などの道具に気を使わないようなものです。
こうなると、カレーはそれほどおいしくなりませんし、ティーン向けの小説としては魅力がどんどん減っていきます。


ティーン向けにエロスや萌えをちりばめただけの作品にすら、対抗できなくなってしまいます。
少年にとって、機械か魔法かよりも、性はいつも重要な要素だからです。
どれほどSF設定を作りこんでも、前提の部分で違うものが相手にいるということです。
おいしい野菜を作っても、子供は肉のほうをほしがるような感じです。


ハードSFがいいとか、ライトSFがいいとか、そういう話ではなく、「少年向けのSF小説の魅力とは何か?」が重要なのだと考えています。
SF部分が綿密でリアルでハードだったとしても、見せ方がきっちり少年向けであれば、ちゃんと面白いのです。
ハードSF設定を内包していても、少年向けとして芯が通っていれば、それは少年に受けます。


日常系や、ファンタジーが毎月ラノベとして出版されていますが、SFはそれほど多くない印象を受けます。
これから業界に出て行くとしたら、それなりに攻めどころのような気はします。


でも、ロボットもSFだから、ガンダムシリーズなどを考えれば、決して少なくは無いんですよね……
ただ、私にとって、ロボットものはあまり未来や非日常を感じないものになってしまっているというか。
アニメに出てくるものを見ている分には、別に普通の日常じゃないかな、といったような。これはただの個人的な感想程度の話ですが……


考えが変わったり、進んだりしたら、また新しく記事を書くと思います。