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復活! サブカルをメインに批評・考察・提案するブログです。

田尻智と間違われて――夢と冒険と! ポケットモンスターの世界へ! レッツ ゴー!

 今回は、思い出話を話そう。

 

 なお、記憶の曖昧な部分を無理矢理補足したり、推測も混じったりしているため、その結果として少々話を盛ってしまっている部分があるかもしれないが、故意ではない。そのことを、あらかじめ断らさせていただく。

 

 子供のころ、私はゲーム機を買ってもらうのが遅かったが、興味はあった。そして目に悪いという理由で、特にゲームボーイを買ってもらうのはさらに遅かった。ではそんな私がハマっていたものはというと、読書や100円で5枚くらい出てくるカードダス、そしてガチャポンだった。

 そんなガチャポンを見ていて閃いたアイデアがある。

 当時の私はドラクエすら持っていなかったが、たくさんのモンスターが出てくるということは知っていた。そんな中途半端な知識から導き出されたのは、「ガチャポンのカプセルみたいなものにモンスターを入れておくテレビゲームで、ゲーム内でカプセルを複数一度に持って歩けて(小さくなるのだからそうしなければ意味がない)、交換もできる」というものだ。交換については、コンピューターなんだからデータの通信くらいできるに決まってる、という決めつけの裏付けもあった。

 私は味方が欲しかったのだ。友達で、仲間で、脅威と戦ってくれる、忠実な味方が。そんな思いが、「カプセルモンスター」と名付けたこのゲームのアイデアを生んだのだろう。

 なぜガチャポンモンスターではないのか?

 それは、すでに商品に使われている名称を使うことはできないはずだと知っていたからだ。

 

 このアイデアを開陳しても、周囲の反応はおよそ冷ややかなものだった。

 いわく、「売れるわけない」「できるわけない」。ひどいのになると、「ウルトラマンカプセル怪獣のパクリ?」「メガテンのパクリか」などというものもあった。彼らはアイデアというものを理解していない。相手は一般人だからしかたがないのだが、言われるたびに私は傷つき、落ち込んだ。ちなみに、当時の私はカプセル怪獣メガテンも知らなかった。ご愛敬。

 

 さて、かの有名で私も敬愛している「ポケットモンスター」の制作裏話に触れたことのある人なら、偶然ではあるが、アイデア段階のポケットモンスターと同じ名称、同じアイデアであることに気が付くだろう。そして、私がこのアイデアを持ったのは――すでに開発中ではあったのだろうが――ポケットモンスターの発売前、発表前だった。

 そう、このアイデアを持ったことで、私はあの田尻さんと間違われたことがあるのだ。つまり、「ポケモンを作った人」に……だ。

 田尻さんが大好きらしい「都市伝説」に近いものに、なっていたのかもしれない。

 間の悪いことに、小学校の近くに「たじりばし」というとても小さな橋もあった。名前を、そこからとったのだろうと思われたかもしれない。

 といっても、大人が聞けば「ありえない」とすぐにわかるもので、たとえ都市伝説好きでも聴けば一笑にふすような話だが。

 なぜか?

 それは先ほど述べた通り、このアイデアを持っていたのが、ただの子供だったからだ。

 

 子供のたわいない噂だから成立した話で、もう少し年齢が上がっていれば「おかしい」とすぐに気が付くのかもしれないが、私の通っていた地方の小学校ではそこそこ有名な話になっていたのではないかと思っている(確証はない)。

 

 そんなあったらしい日々は、私に直接問われることで終わった、と思う。

 つまり、ポケットモンスター発売後、流行後に「お前が田尻智なんだろ」とか、「お前がポケモンを作ったんだろ」みたいな――はっきりとは覚えていないが――そんな問いかけだ。

 なお、そう問われたとき、いまだに私は、ポケットモンスターどころか、ゲームボーイも持っていなかった。

 当時の私は子供ながらに、「これは重大な局面だ」「返事を間違えたら大変なことになる」と直感した。ひしひしと、伝わってくるのだ。ほとんど話したこともないような別のクラスの、記憶があいまいなのでひょっとしたら別の学年かもしれないやつが親しげに、尊敬の色を見せながら、「何もしていない私」に――話しかけてくるのだから。

 私ははっきりと、「そんなわけないじゃん!」「俺はまだ小学生で、子供なんだよ!」「できるわけないじゃん!」などと答えたはずである。

 非常にがっかりした顔をされたのを覚えている。

 彼らも、子供でもできるんだ、ということを信じたかったのかもしれない。

 

 そして、一つの夢が終わった。先を越されたのだ。先に発表・発売された以上、ほとんど同じような後追いを作っても、意味がない。

 秘かに、「私のカプセルモンスター計画」は終了した。

 

 

 

 

 そして時は流れ、ニンテンドウ64が発売され、初代のポケモンスタジアムが発売された。そのポケスタには、ゲームボーイのカートリッジをコントローラーのGBパックに挿すことで、ポケットモンスターがプレイできるという機能がついていた。ゲームボーイを未だ持っていなかった私には、これがポケットモンスターとの初の対面である。

 ……実際にプレイしてみて、「なるほど、これがプロの仕事か」「今の僕にはできない、できそうもない」「知識が足らない」「誰かに不足分を助けてもらえば、できたかも」――などと思ったことを覚えている。

 

 その後、ポケモンに勝つ! という目標を立て、ある日本文化を扱ったゲームを考えたが、これは私以外の手で世に出てしまった。任せたのではない。偶然か、盗用かは知らないが、私は関わっていない。愚かにも大勢の人前でアイデアを披露したことがあったので、それが原因ではないかと思っているが……、定かではない。

 

 今一番やりたいことは、物語を紡ぐことで、特に小説(ラノベ)だ。だから、ゲームで戦うかどうかはわからない。

 それでも、心のどこかで、ポケモンに、田尻智に勝つ! という目標が、いまだにくすぶっているような気がしてならない。

 

 

 最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。