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映画「学校の怪談」を観て、言いたいこと

 ネタバレ注意!




当時観たかったが観なかった映画。
リアルタイムで観たのは「学校の怪談4」だけで、それ以前のものは観ていなかった。


結論を言ってしまうと、怪談のような始まり方をしておきながら、怪談をやらない映画だった。


たとえば冒頭で、メリーさんの怪談が描かれる。しかし、普通メリーさんの怪談というのは人形が出てくるはずなのだが、出てこない。その代わりに、宙に浮いた、首……ではなく、ハロウィンのかぼちゃのようにくりぬかれた、スイカが登場する。
人形でなくとも怖ければいいのだが、妙に外された気分。
その後も怪談は出てくるものの、妙に外される。テケテケも不気味ではあるのだが、どこかユーモラスな姿である。
最後は用務員の変身したクモの怪物。幽霊や妖怪ですらない。もう、よくわからない。


しかし、もし、序盤ではしっかり怪談をやっているのに、後半になるとただのモンスター映画になっているのなら、それはよくないといえるのだが、この映画の場合、最初から外してきている。
だから、意図的にやったのではないかとも思える。ただその意図が面白くなかったというわけだ。


この映画にとって、怪談は材料ではあったが主題ではない。そんな気がする。
かといって、その主題がうまく描かれているかといえば疑問点がつく。
木造校舎になじみのある世代の方は、その点で面白いと思えたかもしれないのだが、それを主題にしているかといえば、できていない気がする。
学校の怪談という題材であれば、校舎の端から端まで映す口実になる。丹念に映せば、それはノスタルジィを生む。
しかし、ノスタルジィを描くための映画とも思えない。それが主眼に置かれた見せ方ができていない。怪談とモンスター映画のキメラのような見せ方をしているように見える。
だから、ノスタルジィが第一に伝わってくるかというとまったくそんなことはない。終わってから、そんな気がするだけだ。
何を描くかが選べていない、そんな印象。


一つ一つの要素を見れば、それを描きたかったのかな、と類推できる。恋愛にしろ、何にしろ。
しかし映画全体を通してみると、いったい何が主題にきているのかさっぱりわからないのである。
寄せ集め。
一点のテーマに集中できていない。


主人公が明確ではない、ではチームとして魅力があるのかといえばそれもない。
まとまりがない。


しかし、学校の怪談というのはもともと寄せ集めのようなものだ。
それぞれの怪談に関連性はもともとない。学校にあるという共通点があるだけでそれ以外は関係ないのである。
別々の場所の、それぞれに怖さがあるだけだから。


お約束どおりの怪談ホラーをやってくれればそれでよかったのに、変に外したせいで壊れてしまった映画という印象。
何か横槍でも入ったのかなあ。シナリオが構造分裂している。


2以降も見たら感想を書きたいと思う。